青空文庫のオーディオブック

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祝った勇者と呪われた魔王

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魔王?


プロローグ:


「魔王よ、降参してくれ。これ以上戦う意味などない!」
魔王は立ち上がりながら、その勇者の言葉に呆れ、嘲笑うかのように返答する。
「馬鹿を言うな勇者よ。我とお前は戦う運命、ここで終わるなど許される訳なかろう。どちらかが死ぬまでこの戦いは終わらぬ!」
そういうと魔王は身の丈ほどある杖を掲げ呪文を唱え始めた。その光景を眺めていた勇者は、戸惑っていたがすぐに決心し、言葉を発した。
「ならしょうがない。この技を使いたくなかったが、この世界の為だ」
勇者は手にもった剣を自分に突き立てて、勇者は魔王に言い放った。
「魔王、俺はこの命を持ってお前のことを”祝ってやる‼”」
「え、勇者、ちょっと待て、今なんて?」
魔王はしっかり勇者の話を聞いてみたいで、急に聞き返してきた。だが勇者は止まることなく自分の胸に深く剣を突き刺した。
「祝ってやると……言ったんだよ……!」
息も絶え絶えに先ほどの質問に律儀に返す勇者は笑いながら血を流し、やがて仰向けにその場へ倒れこんだ。
それと同時に勇者の体は光だし粒子となって、天に登って行った。
「えぇ……」
唖然とする魔王だったが、よくよく考えてみると勇者がいなくなったので、実質自分の勝利ということに気づいた。
「やっとぞ!なんか知らんが勇者が自決してくれた!これでこの世界は我の物だ!」
そう独り言を呟くが、残念ながらその独り言に反応する声があった。
「残念!あなたは祝われてしまった。もう悪いことはできません」
誰だと思い、声のする方を振り向くと、そこには先ほどまで戦っていた勇者の顔があった……。
「なぜそこにいるのだ勇者よ」
「一生あなたの側で祝ってあげるわ♪」
質問に対して、微妙に合わない返答をし勇者はニコニコ微笑んでいる。
細かいことはわからないがきっとこれから良くないことが起こりそうだと思う魔王だった。


あらすじ:
勇者は命を懸けて魔王を祝い、魔王にとって、それは呪いの様なものだった。
人を殴ろうとしても撫でてしまう。ごみを捨てようとしたら清掃活動をしてしまう。
人間にとって良いことでも、魔王にとっては嫌なこと。
はたして魔王は祝いを解くことは出来るのだろうか。


キャラクター紹介:

魔王
何千にんもの人間を殺してきた、最強最悪な魔族。勇者に呪いのようなものを掛けられて、世直しの旅をすることに。
いずれは呪いを解いて、また世界を混沌の闇に包みこもうと目論んでいる。人間にありがとうと言われるたびに、
自分の存在意義を失いかけるため、言われないように全力で逃走もしくは阻止する。

勇者
誰かが救えるならと魔物たちと戦い、そして最後には命を生贄に魔王を祝った人間の女性。
正義心が強いように見えるが、実は単純に命が奪われてしまうのを嫌っている。
魔王の呪いになってからも、命を奪おうとする物を許せずなんとかして止めさせようと魔王を操る。

天使
魔王のことを憎んでおり、どうにか殺そうとするが、勇者に毎回止められている。
善行を積む魔王を良しとせず、また、率先して誰かを助けようとするが毎回魔王に先を越される若しくは助けられる。


ポイント
最終的に魔王と勇者が、どのような世界にするかを決め、この物語は終わる。
魔王や天使の心の動き、また勇者の過去などをストーリ上に組み込む。